公開日: 2025年6月7日 - 最終更新日: 2025年6月8日

ミカンやレモンを植えたら必読!初夏からやっておきたい病害虫対策

グリーンファーム運営担当
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目次

はじめに

ミカンやレモンなどの柑橘類は、果実がたわわに実る姿やさわやかな香りが魅力で、家庭でも人気の果樹です。しかし、実をつけるまでには長い時間がかかり、その間にはさまざまな病気や害虫の被害に遭いやすい植物でもあります。特に気温が上がり始める初夏は、病害虫の活動が本格化する季節。せっかく植えた柑橘類を元気に育て、美味しい果実を収穫するためには、早めの対策が欠かせません。

この記事では、これからの季節に備えてやっておきたい病害虫対策をわかりやすくご紹介します。初心者の方でも実践しやすい方法を中心にお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。

1: ミカン・レモンの病害虫対策が重要な理由と初夏の栽培ポイント

1-1: なぜミカンやレモンの木は病害虫に狙われやすい?被害の実態と条件

ミカンやレモンをはじめとする柑橘類は、病害虫の被害を受けやすい植物として知られています。その理由のひとつが葉や果実に含まれる糖分や香り成分です。これらは人間にとっては魅力的ですが、同時に害虫にとっても「ごちそう」。特にアブラムシやハモグリガ、カイガラムシなどは、葉や茎から栄養を吸い取るために集まりやすいのです。

また、温暖で湿度の高い環境は、病害虫の繁殖にとって最適。初夏はまさにその条件が揃いやすく、放置していると一気に被害が広がってしまう恐れがあります。さらに柑橘類は常緑樹のため、一年を通して葉が茂っており、害虫が隠れやすいという特徴もあります。

被害の具体例としては、以下のようなものがあります:

  • アブラムシの吸汁による葉の変形やベタつき(すす病の原因にも)

  • カイガラムシによる枝の弱体化と樹液の浪費

  • ハモグリガによる葉の中の食害(白い迷路のような跡ができる)

  • 黒点病やかいよう病などのカビ・細菌性の病気による果実の品質低下

こうした被害は、見た目の悪化だけでなく、果実の収量や味にも大きく影響します。だからこそ、初夏に入る前の予防と早期発見がとても重要なのです。

1-2: 初夏から増える発生リスク!病害虫の活動時期と注意ポイント

初夏(5月~6月頃)は、日中の気温が20℃を超える日が続き、植物の成長とともに病害虫の活動も一気に活発化する時期です。とくに柑橘類はやわらかい新芽や若葉がぐんぐん伸びる季節でもあり、病害虫にとっては「食べごろ」の状態になっています。

この時期に注意したい主な害虫や病気と、その活動のピークは以下のとおりです。

主な害虫の活動時期

  • アブラムシ:4月~6月にかけて急増。新芽や若葉に群がり、吸汁によって葉が丸まる。

  • カイガラムシ:5月以降に幼虫がふ化。枝や幹に付き、樹液を吸って木を弱らせる。

  • ハモグリガ(エカキムシ):5月~8月に多く発生。葉の中を食い進み、白い筋状の跡を残す。

注意したい病気と時期

  • かいよう病:雨や風の多い季節に広がりやすい。葉や枝に病斑ができ、落葉や枝枯れの原因に。

  • 黒点病:梅雨入り前後に多発。葉や果実に黒い斑点が出て、見た目が悪くなる。
  • すす病:害虫(特にアブラムシやカイガラムシ)の排せつ物をエサにしてカビが繁殖。葉や果実が黒く汚れる。

注意ポイント

  1. 気温の上昇に伴って害虫の繁殖スピードが加速するため、早期に見回りを始めることが大切。

  2. 新芽の成長期は特に注意。やわらかい葉ほど害虫が好むため、集中して観察を。

  3. 風通しの悪い場所や込み入った枝葉はリスク大。剪定や枝すかしで予防効果が高まる。

初夏の段階で病害虫を発見・対策できれば、その後の果実の成長を大きく左右するトラブルを未然に防ぐことができます。日々の観察が何よりの対策です。

1-3: 知らないと損する管理の基本:予防・防除・環境づくり

ミカンやレモンなどの柑橘類を健康に育て、実りを守るためには、「病害虫を見つけてから対処する」だけでは不十分です。実は、多くのトラブルは日頃の管理 (”予防”と“環境づくり”)で大きく減らせます。ここでは、知らないと損をする基本的な管理のポイントをご紹介します。

1.予防の基本:日々の観察と剪定
病害虫対策の第一歩は、毎日の観察です。特に新芽や葉裏、枝の分かれ目などは害虫が潜みやすいため、意識してチェックしましょう。また、不要な枝や込み入った部分を剪定して風通しを良くすることで、害虫の潜む場所を減らし、病気も発生しにくくなります。

2.防除の工夫:薬剤だけに頼らない
病害虫が発生してしまった場合は、早めの対応が肝心です。ただし、薬剤散布に頼りすぎるのではなく、手で取り除く・粘着テープを使う・水で洗い流すなどの物理的な方法と組み合わせて、防除効果を高めましょう。
また、有機栽培向けの殺虫・殺菌剤(例:マシン油乳剤、ボルドー液など)を使えば、植物や環境への影響も抑えられます。

3.環境づくり:木が元気なら病害虫にも負けない
柑橘類が本来持っている抵抗力を引き出すためには、適切な施肥と水管理も重要です。肥料が多すぎると逆にアブラムシを呼びやすくなり、足りなすぎると木が弱って病気にかかりやすくなります。また、水はけの良い場所に植えることで根腐れやカビ病のリスクを減らせます。

管理の基本は「ちょっとした手間の積み重ね」です。特別な道具や知識がなくても、日頃の気配りと習慣で病害虫リスクはぐっと下げられます。

2: よくある病害虫と症状を写真付きでチェック【レモン病気画像あり】

ミカンやレモンによく発生する害虫や病気について、具体的な特徴と見分け方を写真付きでご紹介します。

2-1: ミカン・レモンによく発生する主な害虫の種類と特徴

害虫名 特徴 発生時期
アブラムシ 新芽や葉裏に群がって汁を吸う。葉がねじれる。 4〜6月、9〜10月
カイガラムシ 幹や枝に張り付き、白や茶色の殻のように見える。 5月以降
ハモグリガ(エカキムシ) 葉の中に白い筋状の食害跡を残す。 5〜8月
ミカンハダニ 葉が黄変し、表面がかすれたようになる。 初夏〜秋

写真を参考にしながら、それぞれの特徴を覚えておきましょう。早期発見のカギになります。

2-2: アブラムシの見分け方と被害例

アブラムシは、春から初夏にかけて新芽や葉の裏によく現れる、体長1〜3mmほどの小さな虫です。色は黒や緑、黄色などさまざまで、集団で発生しやすいのが特徴です。吸汁によって葉が縮れたり変形したりするほか、排せつ物の甘露が葉に残り、これがカビの原因となってすす病を引き起こすこともあります。

【写真】新芽に密集するアブラムシ

2-3: カイガラムシ・ヤノネカイガラムシの症状と発生部位

カイガラムシは、枝や幹に張りつくようにして樹液を吸い、木の勢いを弱らせます。見た目は小さな貝殻のようで、成虫になると動きません。

ヤノネカイガラムシは葉の縁や裏に付きやすく、銀白色のかたい殻に覆われています。排せつ物によりすす病を誘発するため、放置は禁物です。

【写真1】イセリヤカイガラムシ:全体的に白っぽく、背中にある筋状のものは卵のう

【写真2】ミカンワタカイガラムシ:その名の通りワタを被っているような姿をしている

2-4: ハモグリガ(ミカンハモグリガ・エカキムシ)の見分け方と被害例

ミカンやレモンの葉に、白い線や迷路のような模様が現れていたら、それはハモグリガ類(エカキムシ)の被害かもしれません。特に柑橘類にはミカンハモグリガがよく発生します。被害は若葉に多く、広範囲に広がってしまい放置すると光合成が妨げられ、木が弱ってしまいます。

【写真】ハモグリガの食害(白い筋模様)

2-5: かいよう病・黒点病など主な病気の症状とイメージ画像

柑橘類によく発生する代表的な病気の特徴

病気名 主な症状と見た目 発生時期
かいよう病 葉や枝に斑点、周囲に輪のような模様が出る。落葉・落果を招く。 梅雨〜夏
黒点病 葉や果実に黒い斑点が出る。進行するとカビ状に。 梅雨前後〜夏
すす病 葉や果実の表面に黒カビが付着。光合成や果実品質に悪影響。 害虫被害後に発生
【写真】かいよう病の被害葉
【写真】黒点病の被害(葉・果実)

早期に見つければ被害を最小限に抑えられます。見慣れない斑点や変色を見つけたら、すぐに対応を。

【写真】おまけ:ハダニ 小さな赤い点々に見えるのがハダニ

2-6: レモンの木が虫つきやすい理由と悩みの傾向

レモンは柑橘類の中でも特に虫が付きやすい傾向があります。理由は以下のとおりです。

  • 新芽がやわらかく甘い香りが強いため、アブラムシなどが寄りやすい。

  • トゲが多く、見回りや剪定がしにくいため、害虫が潜みやすい。

  • 鉢植えで育てられることが多く、風通しが悪くなりやすい。

特にベランダ栽培や庭の隅に植えた場合は、枝葉が密集しないように注意が必要です。

 

3: 初夏にやっておきたい!ミカン・レモンの効果的な予防・対策法

3-1: 病害虫の発生を防ぐ園芸・栽培管理のポイント

病害虫が好む条件を減らすことで、被害リスクは大幅に減らせます。

  • 混み合った枝葉を剪定して風通しをよくする

  • 株元の雑草や落ち葉をこまめに取り除く

  • 定期的に葉裏や新芽を観察する習慣をつける

小さな工夫の積み重ねが、大きなトラブルを防ぎます。

3-2: 剪定・枯枝処理・肥料で環境改善&防除効果を高める方法

病害虫の多くは、弱った木を狙います。木を健全に保つためには次のような手入れも効果的です。

  • 剪定は4月上旬〜5月が適期。込み入った枝や徒長枝を整理。

  • 枯枝や病斑のある葉はすぐに取り除く

  • 窒素肥料の与えすぎに注意(新芽が柔らかくなりすぎると虫が増える)。

肥料は緩効性タイプを少量ずつ、バランスよく与えましょう。

3-3: 雨/強風・生育環境が影響…発生条件別の対応策

条件 起こりやすい症状 対応策
雨が多い かいよう病・黒点病 葉が濡れたら早めに乾かす。雨よけ設置も有効。
湿気が多い すす病・カビ系の病気 株元の通気確保、マルチングを控える。
強風が多い 葉の裂傷→病原菌侵入 防風ネット、樹勢を整える剪定。
日当たり不足 害虫の繁殖、病気の助長 日陰を避け、適度に日照が当たる場所へ移動。

3-4: おすすめの虫除け対処法と家庭でできる予防策

以下は、家庭でも手軽にできるおすすめの予防法です。

  • 黄色粘着シート:アブラムシやハモグリガ成虫の誘引捕殺に有効。

  • マシン油乳剤:カイガラムシに効果。冬季や新芽前の使用がおすすめ。

  • 木酢液の散布:やさしい忌避効果あり。においで虫を遠ざける。

  • 防虫ネットで覆う:特に鉢植えの若木に効果的。

害虫は一度増えると完全駆除が大変です。発生前の「ひと工夫」が最大の防除策です。

4: 対策しても発生したら?被害時の駆除・対処・解決策

4-1: 発生時の初動!病原菌・害虫の駆除・管理方法

気を付けていてもちょっと目を離したすきについてしまうのが病害虫。
多用は避けたいところですが、頼れるときは薬剤を頼りましょう。

■アブラムシ・ハモグリガなどの害虫

・ベニカベジフルスプレー

スプレータイプで手軽にすぐに使うことができます。
野菜・果樹などにつく幅広い害虫に効き目があり、速攻性と持続性があります。かんきつの場合は収穫前日まで使用ができます。

・スミチオン乳剤

こちらも野菜・果樹など幅広い植物に使用できます。
木が大きかったり、複数本木がある場合は薄めて噴霧器で使用できるこちらのタイプがお財布にも優しいです。

■すす病

すす病はアブラムシやカイガラムシの排泄物にカビが繁殖して発生しやすいため、まずは殺虫剤を使用して様子を見るようにしましょう。
すす病自体が気になる場合は水で洗い流したりふき取るようにします。

■かいよう病

・サンボルドー

水で薄めて使用します。
有機JAS規格(オーガニック栽培)で使用可能な薬剤です。

■黒点病

・サンケイエムダイファー水和剤

水で薄めて使用します。

4-2: 被害部位の剪定と再発予防ポイント

病害虫の被害があった枝葉は風通しがよくなるように剪定をし、薬剤散布をして様子を見るようにしましょう。

 

4-3: ミカン・レモン収穫への影響と品質保持の注意

長期保存されることが多いかんきつ類は貯蔵中にも果実を腐敗させる病害(貯蔵病害)もあります。
代表的なものとしては緑かび・青かび病、黒斑病、白かび病、炭疽病。
水で薄めて使用するタイプベンレート水和剤などが予防効果があります。

さいごに

お庭で気軽に収穫できる果樹として圧倒的な人気があるミカン・レモンなどの柑橘類。

基本的には日々観察してあげて生育環境を整えてあげることで健康に育ててあげることができますが、時には病害虫の被害にあうこともあります。

そんな時は、何が原因なのかしっかり見極めてから適切な薬剤に力を借りつつ、日ごろから手をかけてあげて楽しい収穫を迎えましょう!

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