公開日: 2025年12月16日

クレマチスの誘引と分かりやすい育て方

グリーンファーム運営担当
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クレマチスの魅力 ― “つる性植物の女王” と呼ばれる理由

クレマチスは、バラと並んで庭づくりの主役となる人気のつる性植物です。品種は世界で3,000以上、日本国内でも数百種が流通しており、花の形・色・咲き方のバリエーションが圧倒的に豊富です。

最大の魅力は、つるを絡ませるだけで立体的なガーデン風景を簡単に作れること。
フェンス、アーチ、オベリスク、鉢植えなど、どんなスタイルにも合わせられ、狭いスペースでも華やかな演出が可能です。

さらにクレマチスは、

春から秋まで品種を組み合わせれば長く開花が楽しめるます。

バラとの相性が抜群で、共演させると圧倒的に美しく、

育て方のコツさえつかめば毎年必ず咲いてくれる強い多年草
という点から、初心者から上級者まで幅広く愛されています。

今回は系統別育て方のコツをご紹介します。

クレマチスの基本情報 ― 育てる前に知っておきたい基礎知識

まずクレマチス(Clematis)は、キンポウゲ科センニンソウ属に属するつる性多年草です。
世界には約300種類の原種と、数千におよぶ園芸品種が存在し、花姿の多様さから「つる植物の女王」とも呼ばれています。

共通の特徴

多年草で一度根づけば毎年花を咲かせる

茎は細いが、つる状に伸びて支えに絡む

花の形は大輪・ベル咲き・八重咲きなど豊富

開花期と系統の違い

クレマチスは品種によって開花期が異なるのも魅力です。

●早咲き(3〜5月)

パテンス系、モンタナ系など

● 夏咲き(6〜8月)

ビチセラ系、インテグリフォリア系など

● 秋咲き(9〜10月)

フロリダ系の一部、テキセンシス系など

開花期は 剪定タイプ(旧枝咲き・新枝咲き・新旧両枝咲き) と深く関係しており、ブログの後半で詳しく説明しています。

育てる際の基本条件

● 日当たり

日当たり〜半日陰。
※暑さが苦手な品種は午前中だけ日が当たる場所が理想。

● 土壌

水はけが良く、弱アルカリ性がベスト。

● 水やり

乾いたらたっぷり、梅雨時期と真夏は調整。

● 肥料

控えめに。春・初夏・秋に緩効性肥料を少量。

● 支柱

必ず必要。誘引がとても重要(後章で詳しく説明)。

 

クレマチスの系統と育て方・剪定を理解しよう

クレマチスを育てるポイントは、「どの系統(剪定タイプ)に分類されるか」を知ることです。
クレマチスは大きく次の3つに分かれます。

旧枝咲き(早咲き大輪系・モンタナ系など)

新枝咲き(インテグリフォリア系・ビチセラ系など)

新旧両枝咲き(パテンス系の一部・フロリダ系など)

それぞれで剪定方法や育て方が大きく変わるため、順番に詳しく説明します。

旧枝咲き― 冬の強剪定はNG!

 特徴

去年伸びた 前年枝 に花芽がつく

花期は主に 4〜6月の早咲き

強く切りすぎると翌年咲かない

 代表的な品種

モンタナ系

アルピナ系

マクロペタラ系

早咲き大輪系(パテンス系の早咲き)

育て方のポイント

夏の暑さに弱い品種が多いため 半日陰〜朝日が当たる場所 が理想

土は水はけの良い弱アルカリ性を好む

冬の間はあまりいじらず、枝を残すのが鉄則

剪定方法

基本は「弱剪定」

花後に軽く整える程度

枯れ枝・混みすぎた枝を間引く

長さはできるだけ残す(半分以上残す)

冬の剪定は最小限に
前年枝を切ると花がなくなるので要注意。

新枝咲き ― 冬に短く切るだけで毎年咲く!

特徴

当年伸びた 新枝 に花がつく

夏咲き・秋咲きが多い

冬の強剪定でむしろ元気に育つため初心者向き

代表的な品種

ビチセラ系

インテグリフォリア系(木立性)

タングチカ系

テキセンシス系

 育て方のポイント

日当たりの良い場所でよく花が咲く

暑さにも強く、丈夫で育てやすい

支柱・オベリスクなどに誘引して形を整える

剪定方法

冬〜早春に「強剪定」

地際から20〜30cm程度を残し、ほとんど切り戻す

細い枝・古い枝は根元から剪定してOK

生育が旺盛なので、毎年すっきり切ってリセットできるのが魅力。

新旧両枝咲き ― 一年に二度楽しめるが剪定は慎重に

 特徴

去年の枝と今年の新しい枝の両方に花がつく

春と秋の二季咲きになる品種が多い

剪定は中間的で少しコツが必要

 代表的な品種

フロリダ系(アンスンエンシス含む)

パテンス系の二季咲き

一部の大輪系

 育て方のポイント

強い日差しにはやや弱いので、午前中だけ日が当たる場所がベスト

肥料を切らさないように、春と夏に追肥

蒸れを防ぎ、通風を確保することが大切

 剪定方法

春の花後に中剪定(1/3〜1/2程度)

春に咲いた枝を軽く切り戻し、形を整える

夏に伸びた枝に秋の花が咲く

冬の剪定は控えめに

花芽が残るよう、全体を軽く整える程度にとどめる

クレマチスを美しく育てるための共通ポイント

日陰に根、日向に蔓

クレマチスは根元を涼しく、蔓は日当たり良くが基本。
株元にマルチングや低木を植えて日陰を作るのが効果的。

支柱・誘引を早めに行う

伸びた蔓が絡み合う前に、支柱やフェンスに軽く固定しておく。

肥料は春から秋まで控えめに

多肥は根腐れのもと。緩効性肥料を適度に。

植え替えは春または秋

根をいじるのが苦手なので、必要なときだけ。

美しい樹形を作るための誘引のコツ

クレマチスを美しく咲かせるには、剪定と並んで「誘引」がとても大切です。
クレマチスは自然に上へ伸びるだけでは花が少なくなったり、株元がスカスカになったりしがちですが、適切に誘引することで 花数が増え、立体的で見栄えの良い株姿 に仕上がります。

ここでは、どの系統にも共通する誘引の基本と、植物の状態に合わせたコツを解説します。

誘引の基本 ― クレマチスは「横向き」に寝かせると花が増える

クレマチスは、茎を 横方向〜斜めに倒しながら誘引すると、節から新芽が出やすくなり花芽が増えます。
ガーデナーの間では「クレマチスは寝かせて育てる」とよく言われるほど。

● ポイント

真上にまっすぐ伸ばさない(花が上部に偏る)

S字にゆるく曲げて フェンスや支柱に留める

無理に急角度で曲げない(折れやすい)

誘引のタイミング ― 新しい蔓が柔らかいうちに

誘引は、新芽が伸び始めた春〜初夏がもっとも適しています。
若い蔓は柔らかく扱いやすく、折れるリスクも少ないからです。

● 成長期の誘引

新しい蔓が15〜20cm伸びたら軽く固定する

一気に曲げず、少しずつ形をつくる

伸びた分だけ順次追加で誘引していく

● 花後の誘引

剪定後に出た枝も柔らかいので、形を整えながら誘引できます。

 誘引の方法 ― 支柱・フェンス・オベリスク別のコツ

● ① フェンス・ラティスでの誘引

最も人気の高い方法です。

横方向にジグザグ(S字)に誘引する

株元から20cm〜30cmほど横に倒すように始める

蔓の先端は好きな方向へ分岐させると立体的に

効果: 面に広がるため花数が圧倒的に増える。

● ② オベリスク・アーチでの誘引

立体的に魅せたいときに最適。

下部は横〜斜め、中段からやや縦に誘引

円柱状なら、らせん状に軽く巻きつけるように

行き場のない蔓は途中で折り返しても◎

効果: 360度どこから見ても花がつく。

誘引するときに使う資材

ビニールコーティングされたワイヤー

麻ひも(自然に馴染む)

100円ショップの園芸用クリップ

結束バンド(ゆるめに使う)

※ 茎を締め付けると弱るため、指1本分の遊びを持たせて留めるのがコツ。

誘引で失敗しないための注意点

急に角度を変えない(クレマチスの茎は折れやすい)

風通しを確保し、密集させすぎない

花が咲いてからの誘引は最小限に

冬の枯れた蔓は品種によって残す(旧枝咲き系は特に注意)

品種別の誘引の違い(概要)

● 旧枝咲き

去年の枝を残すので、冬に枠組みを作るように誘引

古枝を活かし、全体にゆるく広げる

● 新枝咲き

冬にほぼ根元から切るため、毎年自由に作り直せる

初夏に伸びた蔓をS字状に誘引して花量アップ

● 新旧両枝咲き

春は古枝を横に広げ、花後に新芽を誘引

二季咲きを活かすため、とにかく枝数を残す

 

まとめ:クレマチスは“知るほど育てるほど美しくなる植物”

クレマチスは、品種の豊富さ、美しい花姿、誘引や剪定による仕立ての楽しさなど、育てるほど奥深さが増す魅力的な植物です。
少しコツはありますが、系統ごとの剪定方法と、蔓をゆるく横へ誘引する基本さえ押さえれば、誰でも毎年たくさんの花を咲かせることができます。

庭でもフェンスでも鉢植えでも、場所に合わせて自由に楽しめるのがクレマチスの最大の魅力。
自分だけの花姿を作れる喜びは格別です。

ぜひこの記事を参考に、クレマチスが咲き誇る美しい風景づくりに挑戦してみてください。
きっと毎年の庭時間がもっと楽しく、もっと華やかになります。お世話をした分だけ、クレマチスは必ず応えてくれるはずです。

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