実は秋が宿根草のシーズン

風土に合ったものなら何年もガーデンで楽しめる宿根草。春に見事な姿をみせる宿根草は、ガーデニングには欠かせません。バラとの相性も抜群、ローズガーデンには必ず植えられていますよね。そんな宿根草は春のイメージが強く、植え付けも春だと思われている方も多いと思います。しかし実は涼しくなってきた秋が植え付けシーズンなんです。
なんで春ではなく秋?
秋に苗を植えるメリット
- 地上部の成長が穏やか: 秋は気温が下がり始めるため、地上部の葉や茎を伸ばすためのエネルギー消費が少なくなります。
- 根の成長に集中: 植物のエネルギーが、土の中で強く丈夫な根を張ることに使われます。このしっかりした根が、冬を乗り越え、翌春の 活発な生育を支える土台となります。
- 夏のストレスがない: 植え付け直後の植物はストレスを受けやすい状態にあります。暑さや強い日差しの中で根を張るのは難しく、枯れてしまうリスクが高くなります。
- 水やりの手間が少ない: 秋は春や夏に比べて雨が多く、気温も低いため、土壌の乾燥がゆるやかです。頻繁な水やりの必要が減り、管理が楽になります。
- 春のスタートダッシュ: 秋に根を十分に張らせておくと、春が来たときにすぐさま地上部の成長を始められます。
- 花つきがよくなる: 春に植えた株に比べて、花や葉が豊かに育ち、見ごたえのある姿になります。
秋の開花株を植えるメリット、デメリット
- 好みの花を選べる: 花が咲いているため、色や形、香りを実際に確認して選ぶことができます。地上部が枯れてしまう秋に、翌春以降の花を具体的にイメージして購入できるのは大きな利点です。
- すぐに花を楽しめる: 購入してすぐに鉢植えや庭に植えれば、そのシーズン中に開花を楽しめます。庭やベランダをすぐに彩りたい場合に便利です。
- 初心者でも安心: 苗の生育状態が目で見てわかるため、元気な株を選びやすいです。開花株は、ある程度大きく育てられているため、小さなポット苗よりも丈夫な傾向があります。
- 植え付け後のダメージが大きい: 開花中の株は、花を咲かせるために多くのエネルギーを使っています。植え替えは株にとって大きなストレスとなるため、根がしっかり張る前に冬が来てしまうと、翌春の生育が悪くなることがあります。
- 冬越しが難しい場合がある: 開花株は、花を咲かせるために温室などで管理されていたことが多く、耐寒性が十分でない場合があります。寒さに弱い品種は、冬の寒さや霜に耐えられず枯れてしまうリスクが高まります。
- 本来の開花期ではない: 秋に店頭に並ぶ開花株の中には、生育を調整して本来の開花期ではない時期に咲かせているものもあります。翌春以降は、その品種本来の開花期に戻るため、開花を楽しめる時期が変わる可能性があります。
- 根詰まりしていることがある: 長期間ポットで育てられている開花株は、根がポットいっぱいに回っている(根詰まり)場合があります。植え替えの際に根を軽くほぐす必要がありますが、ダメージを与えないように注意が必要です。
参考までに・・・(春の開花株を植えるメリット、デメリット)
- 生育のタイミングに合わせやすい
- 夏の暑さに強い株に育つ
- 豊富な品揃えから選べる
- 冬越しの寒さ心配がない
- 夏の暑さで枯れるリスク
- 秋植えに比べて開花株が少ない
- 水枯れ等、管理の手間がかかる
- 植え付けのタイミングにより成長が遅れることがある
開花時のイメージが浮かばない!

デザインで選ぶ
選ぶ植物によって花壇やガーデンの雰囲気がぐっと洗練されます。
①ナチュラルガーデン風
自然な草姿で、風に揺れるような柔らかい印象。自然な曲線ラインで高低差をつけて植えるとナチュラルな雰囲気に。色味は白・淡ピンク・パープル系などで統一すると柔らかい印象になります。
(おすすめ植物)
ガウラ、フジバカマ(ユーパトリウム)、カラマグロスティス(ススキ系グラス)、エキナセア、ゲラニウム、カンパニュラ、アスチルベ(半日陰向き)
②モダンガーデン風
スタイリッシュで都会的。葉色・形のコントラストを重視する。グルーピングして植えると洗練された印象に、直線的なライン・鉢植えを活用すると現代的になります。色数を3色以内に絞る(例:グリーン+シルバー+パープル)とよりシャープに。
(おすすめ植物)
ヒューケラ(銅葉やライム色など)
ホスタ(大きな葉で存在感)
ラベンダー(香りとシルバーリーフ)
ネペタ(ブルー花と銀葉の相性◎)
アガパンサス(涼しげな花茎)
フェスツカ・グラウカ(青灰色のグラス)
③ボーダーガーデン風
奥行きを活かした植栽で、ヨーロッパ式花壇の定番。高さ順に3層構造で植え、同系色グラデーションにするとまとまりやすい。
(おすすめ植物)
後列:デルフィニウム、ルピナス、モナルダ
中列:フロックス、エキナセア、ガウラ
前列:アジュガ、ヒューケラ、タイム
性質で選ぶ
宿根草を「見た目」だけでなく「性質」で選ぶと、手入れがグッと楽になり、失敗も少なくなります。ここでは、宿根草を性質(育つ環境・強さ・性格)で選ぶポイントをわけてみましょう。
①日当たりで選ぶ
●日向(6時間以上の直射日光)
エキナセア、ルドベキア、サルビア、コレオプシス、ラベンダーなど。花つきが良く色鮮やかで、乾燥に強い種類が多いです。
●半日陰(2〜4時間程度の日差し)
ホスタ、アスチルベ、ヒューケラ、ゲラニウム、クリスマスローズなど。暑さに弱い花でも元気。葉色を楽しむタイプが多いです。
●日陰(直射日光がほぼない)
フウチソウ、ホスタ、ヤブラン、ツワブキなど。花より葉を楽しむ。湿り気を好む傾向があります。
②耐寒性・耐暑性で選ぶ
●寒さに強い(耐寒性◎)
デルフィニウム、ルピナス、フロックス、ゲラニウムなど。北日本や高冷地にも対応。
●暑さに強い(耐暑性◎)
ガウラ、ルドベキア、エキナセア、モナルダなど。真夏でも元気。南関東〜西日本に◎
●寒さに弱い(防寒必要)
カンナ、アガパンサス(種類による)、ガーベラなど。冬にマルチングや室内避難が必要です。
宿根草の背の高さで選ぶ
宿根草(しゅっこんそう)は草丈によって植栽デザインや花壇構成がガラッと変わるので、「高さ別」に整理しておくととても便利です。以下に一般的な分類を示します。
🌱【低性(~30cm前後)】前景・縁取り向き
アジュガ、ヒメツルソバ(ポリゴナム)、タイム類(クリーピングタイムなど)、スイートアリッサム、ヒューケラ、ワイヤープランツ
🌿【中性(30〜70cm)】中段・メイン層
ゲラニウム、サルビア・ネモローサ、エキナセア、ルドベキア、コレオプシス、ガウラ、ホスタ(ギボウシ)
🌸【高性(70cm〜1.5m程度)】後景・背景向き
デルフィニウム、ルピナス、ヘメロカリス(ニッコウキスゲ類)、フロックス・パニキュラータ、モナルダ、秋明菊)、アスチルベ
🌾【超高性(1.5m以上)】フォーカルポイント・背景に
ユーパトリウム、ミソハギ、オミナエシ、アーティチョーク、カンナ
絶対おすすめの品種3選

- 西洋オダマキ…花型が個性的で八重咲き、一重咲きや色も赤、桃、白、青、黒と多様な姿が楽しめる。花壇の手前に植えると良いでしょう。こぼれ種でもよく増えシェードガーデンにもおすすめです。切花にも向きます。草丈50~80cm。
- ペンステモンハスカーレッド…可愛らしい、花を房に咲かせる。花壇の後方や中盤で活躍する。人気の銅葉のペンステモン。暑さ寒さに強く育てやすい。草丈70~100cm。
- フロックス…真夏の太陽の下でも丈夫に咲いてくれる。華やかな色が良い。草丈50~100cm。
まとめ
宿根草は一度植えると季節ごとに姿を変えながら、毎年庭を彩ってくれる頼もしい存在です。春に咲き誇る姿が印象的ですが、実は植え付けのベストシーズンは「秋」。気温が安定し、根がじっくり張るこの時期に植えることで、翌春にはより健やかで花付きの良い株に育ちます。草丈や色合いを意識して組み合わせると、ナチュラルガーデンやモダンガーデンなど、理想の雰囲気を自由にデザインできます。秋のガーデニングは、冬の準備をしながら春を想像できるワクワクの時間。宿根草をうまく取り入れて、自分だけの四季を感じる庭づくりを楽しんでみてください。

